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田川炭鉱伊田坑 模型

概要

田川炭鉱伊田坑は竪坑櫓1基と煙突2本以外の施設は閉山後に解体され、跡地は石炭記念公園に整備されたため、当時の様子を現地で想像するのは難しい。現役時代の伊田坑を知る資料としてはまず写真(リンク1・2)、そして公園内の田川市石炭・歴史博物館に展示されている模型がある。これは1961(昭和36)年頃の伊田坑を再現したものである。主な施設の名称は下記の通り。

第一竪坑櫓(10)と2本の煙突(16・17)以外の施設の竣工年は確認できていないが、火力発電所(8)は国内初期の鉄筋コンクリート建築物だという。閉山後、田川市はこの建築を資料館に転用する意向だったらしいが、予算と法制度の問題から断念し、その跡地に現在の石炭・歴史博物館を建設した。円形の沈殿池(1)は跡地が公園に整備された際、そのまま公園の池になって中心に「炭鉱夫之像」が建立された。後年に池は廃止されたものの、坑夫像を中心とした円形広場に池の痕跡が残っている。

また、伊田坑と引き込み線の高低差や煙突南側の高台といった地形は当時とあまり変わっていない。現在慰霊碑が建っている高台は、現役時代は田川炭鉱 伊加利(いかり)坑から伊田坑に石炭を輸送する専用鉄道の終点(18)だったことが、1963(昭和38)年の航空写真から分かる(リンク3マーカー3)。伊加利坑は、伊田坑の南東約3kmの地点に1955(昭和30)年に竣工。竪坑櫓の高さ52m、竪坑の深さ700mという大型竪坑だったが、田川炭鉱が1964(昭和39)年に閉山したので短命に終わった。その後、櫓は三池炭鉱港沖坑(福岡県大牟田市)に移築され、1997(平成9)年の三池炭鉱閉山後に解体された。

1.沈殿池 2.炭車引き装置室 3.選炭機電気室 4.精炭庫
5.総合選炭機 6.伊田立坑事務所 7.安全灯室 8.旧火力発電所
9.第一立坑巻室 10.第一立坑 11.総合チプラ室 12.第二立坑巻室
13.第二立坑 14.汽缶場 15.貯炭ベルトコンベアー 16.第一煙突
17.第二煙突 18.原炭チプラ室 19.硬ベルトコンベアー
20.原炭ポケット 21.ポインテットボックス

注:名称は模型内のプレートによる。本文の漢字表記とは必ずしも一致しない。

データ

所蔵:田川市石炭・歴史博物館
撮影:2014(平成26)年2月

リンク

  1. Web地図の資料館アンティーク絵葉書・写真にみる懐かしの風景・町並み三井田川鉱業所
  2. 九州大学総合研究博物館デジタルアーカイブギャラリー東アジアの炭鉱写真筑豊の炭鉱三井鉱山株式会社田川鉱業所第三坑全景
  3. 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス田川市伊田地区周辺を表示 > マーカー1 高解像度表示 USA-M121-27(1947・S22)、マーカー3 高解像度表示 MKU639X-C4-14(1963・S38)

参考文献

  1. 「三井田川鉱業所伊田坑の遺構と石炭記念公園の構想」永末十四雄、『筑豊炭鉱遺産研究会 会報』第1号、筑豊炭鉱遺産研究会


作成日:2014/6/3、最終更新日:同左

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