【22】
展示棟の内部
【23】
ヴォールトで構成した内部空間
館内には引き取られなかった備品などがいくつか残っているだけなので、純粋に内部空間を観賞する目的では理想的な状況といえるでしょう。それも、丹下健三の実力が存分に発揮された空間を。
内部でまず目に止まるのはヴォールト(カマボコ形)の天井です。しかも個々のヴォールトの半径が異なっている上に、曲率が変化している部分(つまり円錐形)まであるなど、単にヴォールトを並べただけではない非常に手の込んだ構成になっています。
【24】
浮遊した屋根スラブ
【25】
動員学徒の詩
先述したように展示品は他施設に移されましたが、引き取られなかった展示パネルが何枚か残っています。筆者が内部を見て回っていると、ある1枚のパネルの前で足が止まりました。それは、動員先の工場で米軍機の攻撃により死亡した15歳の少年が死の前日に書いた日誌の一文です。15歳といえば現在の学校制度では中学3年生。その少年がこのような文章を綴った境遇を思うと、平和のありがたさを痛感せずにはいられません。
芋でない ほんとうの飯を 腹一杯たべたい。
心の中を歌う 詩と言うものを 一度つくってみたい。
そしてゆっくり眠りたい。