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三池炭鉱三川坑 ( 5/5 )
Mikawa Pit of Miike Coal Mine
福岡県大牟田市、1940(昭和15)年

補註

  1. 向坂逸郎(さきさか いつろう)1897~1985(明治30~昭和60)年。福岡県大牟田市出身。マルクス経済学者、社会主義思想家、社会党左派の主要人物。戦前にマルクス主義に傾倒、思想弾圧と投獄にも非転向を貫き、戦後、九州大学教授に復帰する。大学の傍ら、出身地の大牟田市に通って労働者に社会主義を広め、その“向坂教室”の門下生が三池労組の主流派を構成し、彼は労組の理論的支柱となる。
  2. 労働争議において、経営者側が工場等を閉鎖して労働者の就労を拒み、賃金を支払わないことで労働者側のストライキに対抗する行為。
  3. 新労を第2組合と、それに対して三池労組を旧労や第1組合とも呼ぶ。
  4. ピケッティングの略。スト中の事務所等に労働者の見張りを置いて、スト破りの就労を阻止するなどの行為をいう。この件の場合は、新労が四山坑に入るのを阻止するために三池労組が陣取っていたところ、暴力団と乱闘になった。
  5. 三池労組側の本やウェブサイトには「会社が暴力団を雇った」と記されているが、三井鉱山は否定しており真相は不明である。この刺殺事件は会社側としても大誤算で、対立は一層激化する。
  6. 組合の分裂により三川坑事故の慰霊碑はふたつ存在する。大牟田市の延命公園に建立された慰霊碑は新労・職組側。一方、三池労組側の慰霊碑は、刺殺された久保清氏の慰霊碑とともに熊本県荒尾市の有明成田山大勝寺にある。両サイドの関係者は別々に慰霊祭を執り行っていたが、事故から50年目の2013(平成25)年11月9日、大牟田市・荒尾市・日本コークス工業(旧三井鉱山)・各組合所属の元炭鉱夫・遺族が一堂に会した慰霊祭が三川坑の第二斜坑前で初めて開催された。
  7. 三池炭鉱の殉職者は、戦中・終戦直後の混乱期である昭和20年に120人、翌年から昭和23年まで50人前後で推移した後は年を追うごとに減っていき、昭和32〜34年は一桁台になる。昭和35年は0人だがこれは三池争議で操業日数が少なかったからだろう。ところが争議終結後は昭和36年16人、37年15人、38年474人(11/9の事故458人以外で16人)と急増した。『三池炭鉱 1963年炭じん爆発を追う』(日本放送出版協会)36〜37頁「三池炭鉱死傷者統計」より。
  8. 炭塵とは石炭の微細な粉のこと。炭塵爆発とは粉塵爆発の一種で、大気中に一定濃度の粉塵が浮遊した状態で火気により爆発する現象である。小麦粉など可燃物ではない粉塵でも発生する。また、炭塵を長期間吸い続けると塵肺という肺疾患にかかるリスクが高い。これは炭鉱労働者の職業病。
  9. 三池労組が民事裁判に反対したのは、三井鉱山と1966(昭和41)年に「裁判をしない」旨の裏協定を結んでいた事情もあった。しかし家族訴訟原告団が提訴した以上、何もしていないとの批判を避けるため三池労組も裁判に踏み切ることになる。

リンク

  1. 大牟田観光協会おおむたの宝もの100選 炭鉱Vol.40 三川坑跡
  2. 大牟田の近代化遺産三池炭鉱三川坑
  3. 異風者からの通信坑口探訪マップ三川鉱構内図三川鉱ホッパー
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  8. 西日本新聞ワードBOX三井三池炭鉱三池炭鉱労働組合三池新労組三池三川鉱炭じん爆発事故
  9. 三井三池炭鉱三井三池争議三井三池三川坑炭じん爆発 ウィキペディア
  10. YouTube KYODO NEWS 共同通信社炭鉱爆発50年 初の追悼 三池元労組も集会

参考文献等

  1. 三川坑一般公開(2012/11/3)の配布資料およびパネル
  2. 『筑後の近代化遺産』九州産業考古学会筑後調査班、弦書房
  3. 『資料「三池争議」』三井鉱山、日本経営者団体連盟弘報部
  4. 『みいけ20年』三池炭鉱労働組合、旬報社
  5. 『三池争議写真集』三池炭鉱新労働組合
  6. 『NHKスペシャル 戦後50年その時日本は 第2巻 三池争議・激突「総資本」対「総労働」 新日鉄誕生・攻防 巨大企業と公取委』NHK取材班、日本放送出版協会
  7. 『三池炭鉱 1963年炭じん爆発を追う』森弘太・原田正純、日本放送出版協会
  8. 『三池閉山』毎日新聞西部本社、葦書房
  9. 『閉山 三井三池炭坑一八八九 − 一九九七』奈賀悟、岩波書店
  10. 『三池炭鉱炭じん爆発事故に見る災害福祉の視座』田中智子、ミネルヴァ書房
  11. 『ヤマは消えても 三池CO中毒患者の記録』木村英昭、葦書房
  12. 『炭坑(やま)の灯は消えても─三池炭鉱炭じん爆発によるCO中毒の33年』原田正純、日本評論社
  13. 映画『三池 終わらない炭鉱(やま)の物語』監督 熊谷博子
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